2009年07月30日

ショーペンハウアーとゲーテ

ショーペンハウアー 1788-1860
arthur schopenhauer

「ショウペンハウアー全集別巻」(414)
--「生涯と思想」--(15)

「身近に接したショーペンハウアー,1922」
(ヴィルヘルム・グヴィナー)より(2)

<ショーペンハウアーとゲーテ>
ショーペンハウアーは四十歳年長のゲーテの絶え
ざる指導のもとに光学の研究に励んだ。

「この若者(ショーペンハウアー)は私の立場から
出発したのですが、今は私の敵になりました。・・・」
(「ゲーテと枢密顧問官シュルツとの往復書簡集」)

「兄上の「意志と表象としての世界」をお受けとりに
なったゲーテのお喜びは大変なもので、すぐさま大部な
書物の全体を二つに裂いてお分けになったかと思うと
早速、お読みになり始めました。
・・・
それから二、三日たってからのことですが、オッティー
リエのお話ですと、あの方は「意志と表象としての世界」
を熟読中で、そんな熱心な読書のご様子は今まで見たこ
とがないほどだそうです。これでもう一年間の楽しみが
できた、この本を全部読み通すにはそれくらいの時間は
充分かかるだろうからね、などとおっしゃっているそう
です。それからまたお目にかかりましたら、兄上にまだ
これほど自分のことを思っていただけるのはたいへん
嬉しいことだ、ともおっしゃっていました。なんといって
も色彩論のことでお互いの道が分かれて疎遠な関係に
なったことをやはり気にされている御様子なのです。
・・・
少なくともあの方がこれほど真剣な読書の対象として
お選びになった著者は兄上のほかにはありません。
これだけはきっと兄上にもお喜びいただけるものと
思っております。」

注:手紙を書いた10歳年下の妹アデーレは才気に富んだ
女性で音楽、美術、彫刻をやり、ゲーテの指導で文章も
優れていた。ゲーテは彼女の判断力を非常に高く評価し
て、寄贈されたあらゆる種類の書物に関する意見を彼女
に求めるほどであった。兄、ショーペンハウアーとは
最後まで文通を続けていた。ゲーテ生誕100年の記念日
に彼女は亡くなった。

panse280
posted at 21:04

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