2009年07月29日

母親からショーペンハウアーへ宛てた手紙

ショーペンハウアー 1788-1860
arthur schopenhauer

「ショウペンハウアー全集別巻」(413)
--「生涯と思想」--(15)

「身近に接したショーペンハウアー,1922」
(ヴィルヘルム・グヴィナー)より(1)

<序文>
「私は遺言に従ってその人の墓碑を建てた。墓碑面
にはその名前以外はなにも刻まれてはいない。
・・・
本書の目的は、世間一般、特にドイツ人たちが天才を
受け入れる姿勢に欠けているという古き真理の新たな
る証人となる点にある。本書はまた、ショーペンハウ
アーという対象について、その著作から得られるかぎり
の知識を充分に備えている読者のみにねらいを置いて
記されたものである。」
(1861.11 ヴィルヘルム・グヴィナー)

<1 生い立ち>
1805年、父急死。母と別居。
1807.12.13に息子に宛てた母の長い手紙には
以下のように書かれていた。
「・・・あなたと一緒に暮らすのはたいへん重苦しい
ことで、そば近くからあなたの様子を見れば、少なく
とも私にはいよいよその重苦しさが増すように思われ
てなりません。・・・どうしても一緒に暮らす決心が
つきません。・・・あなたが口にする意見や判断、
あなたが見せる習慣的な態度が問題なのです。
・・・その判断があたなの口から出てくると、神託の
ようで、だれも何ひとつ反対が許されない、そんな
ことがすべて私の心に圧迫を加えつづけてきたからで
す。・・・よく聞いてください。あなたにとっては
下宿が、つまりあなたの家になります。私のところで
はあなたはつまり客扱いになります。・・・一家のこと
に口出ししない客なのです。・・・異議を申し立てても、
受け入れないことにします。」

1814.5から母の死に至るまで、息子と母は顔を合わせる
ことがなかった。

panse280
posted at 21:52

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