2009年03月22日

アメリカの悲劇

ショーペンハウアー 1788-1860
arthur schopenhauer

「ショウペンハウアー全集(13)」(287)
--「余録と補遺:哲学小品集 第二巻」--(4)
--Parerga und Paralipomena--

<アメリカの悲劇>
「北アメリカの合衆国では、・・・純粋・抽象的な
法を施行しようとする試みがなされている。しかし
その成果はかんばしくないのだ。というのは、この
国は物質的に繁栄しているにもかかわわず、低劣な
功利主義が支配的志操としてのさばっており、これに
必ずつきまとう相棒の無知が、英国教会的な偏狭な
頑信、おろかなうぬぼれ、馬鹿馬鹿しい女性崇拝と
組んだ残忍な粗暴さといったもののお先棒を担いで
いるのである。さらにもっと始末の悪いことが一般
的に行われている。すなわち、罰当たりな黒人奴隷制、
奴隷に対する極端な残酷、自由な黒人に対する不法な
抑圧、リンチ法、頻発するにもかかわらずしばしば
処罰されないで終わる暗殺、ひどく残忍な決闘、
ときには公然たる法の無視、公債の支払い拒絶、詐欺
同然の腹立たしいくらいの隣接した州の政治的接収、
その結果として起こる富める隣国への貪欲な掠奪行、
それをまた最高の筋が、その国のだれもが嘘と知って
いて笑っているような出まかせで弁解すること、いよ
いよ高まってゆく衆愚政治、右に述べたような上層部
の法の無視が一般の道徳性に及ぼす結果としての堕落
といったことどもである。そういうわけで、この
地球の裏側における純粋な法形態の見本は、共和国の
肩をもつものでなく、いわんやこれを模倣した
メキシコ、ガテマラ、コロンビア、ペルーにとっては
さらに黒星である。」


panse280
posted at 19:54

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