2009年03月11日

みすぼらしく見える高貴なる旅人

ショーペンハウアー 1788-1860
arthur schopenhauer

「ショウペンハウアー全集(12)」(277)
--「余録と補遺:哲学小品集 第二巻」--(8)
--Parerga und Paralipomena--

<みすぼらしく見える高貴なる旅人>
「不滅の作品の作者が後世の人々にとって非常に
偉大で、驚歎に値する、興味深い人間に思われる
ならば、それだけ彼が生きていたあいだに他の
人々は、彼には卑小で、みすぼらしく、味気ない
ものに見えたにちがいない。」

「この世にあるすべての精神も、精神をもたぬ
者には無用である」(ラ・ブリュイエール)

「彼が偉大にして真正かつ非凡なものを生み出す
ことができるのは、ただ彼が同時代人のやり方や
思想・見解などをことごとく無視し、彼等が
非難するものをおかまいなしに創造し、彼等が
賞讃するものを軽視するかぎりにおいてのみなの
である。このような尊大さを欠いては、偉大な
人物は生まれない。たとえ彼の生活と活動が、
彼を認め評価しえない時代に巡り合わせたとして
も、いぜんとして彼はいつも彼自身なのであり、
その姿は一夜をみじめな宿場で過ごすことを余儀なく
された高貴な旅人に似ている。夜が明ければ、彼は
また喜ばしげに旅をつづけるのである。」
(第五十七節)

panse280
posted at 20:26

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