2008年12月17日

実在と観念

ショーペンハウアー 1788-1860
arthur schopenhauer

「ショウペンハウアー全集(10)」(201)
--「余録と補遺:哲学小品集 第一巻」--(11)
--Parerga und Paralipomena--

<実在と観念>
「カント哲学の主要傾向は、・・・実在と観念とは全く
異なる、ということを明らかにすることにある。
・・・
観念的なものとは、空間的に現れる直観される形態なら
びにその形態において知覚される全ての性質である。
これに対して実在的なものとはあくまでもそれ自体に
即し、それ自体において、それ自体に対してあるもの
(物自体)であって、他人のであれ自分自身のであれ
脳中でそれが表象されることとは無関係である、と。
・・・
カントは実在すなわち物自体から物質性を除去した。
(注:ロックは実在は根本的には物質であるといった)
しかしカントにとってもそれは全く未知なるX(エックス)
として残留した。しかるに私は、真に実在的なものとして、
すなわち表象とその諸形式にかかわりのない現実的存在
性を有する唯一の物自体として、われわれの内なる意志
を指摘した。これまで人はこの意志を無思慮にも観念的
なものに数えていたのであるが、ここで人は、ロックと
カントと私が緊密に結びつき、時間的には約二百年間に
わたって、関連と統一をさえ保ちながら、思想の歩みを
徐々に発展させてきたことを知るであろう。」

panse280
posted at 19:56

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