2008年11月27日

失われたプラトンの学説

ショーペンハウアー 1788-1860
arthur schopenhauer

「ショウペンハウアー全集(9)」(183)
--「倫理学の二つの根本問題」--(8)
--学士院懸賞論文1840--道徳の基礎について--


<失われたプラトンの学説>
カントの学説(物自体とイデア)はプラトンと一致する。
プラトンは、時間の観念性を知らなかったから神話
的に語った。
プラトンが「国家」で語った論攷は、もはや現存しない
がポルピュリオスが註釈したものをストバイオスがその
「エクロギア」第二巻にそれをそっくりそのまま保存し
ている。その中の第三十九節を以下に提示する。

「つまり、プラトンが言おうとしているのは、次の事の
ように思われる。霊魂たちは、肉体や様々な生命形式に
入り込む前に、どの生命形式を選ぶかの意志の自由を持って
おり、しかるべき生命と霊魂にふさわしい肉体とによって
生命形式を実現する(というのは、プラトンの言によれば、
ライオンの生命を選ぶか、人間の生命を選ぶかは、霊魂し
だいなのであるから)。だが、この意志の自由は、霊魂が
このような生命形式のどれかのものになるやいなや、消滅
してしまう。というのは、霊魂は、肉体の中に入り込み、
自由な霊魂から生物になってしまうと、当該の生物の性質
に固有な自由しか持たなくなるからである。そして、その
結果、霊魂は、ある時は人間の中に入り込んだ場合のように
非常に知的で、往々にして神経過敏であり、またある時は
他のほとんど全ての生物の場合のようにあまり過敏でなく、
愚直である。この種の自由は、その時その時の性質しだい
である。すなわち、霊魂は、自分自身から活動するのでは
あるけれども、その時その時の性質から生じる志操によって
導かれるのである。」
(ストバイオスがその「エクロギア」第二巻より)

プラトンのこの学説はエジプト人から受け継いだ。
そしてバラモン教の輪廻説にも同様の記述がある。

panse280
posted at 21:29

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字