2008年11月20日

ショーペンハウアーとキルケゴール

ショーペンハウアー 1788-1860
arthur schopenhauer

「ショウペンハウアー全集(9)」(176)
--「倫理学の二つの根本問題」--(1)

<ショーペンハウアーとキルケゴール>(大谷愛人)
--全集付録冊子より--

「キルケゴールがショーペンハウアーの書物を初めて
読んだのは自分の死の約二年前であった。しかし
一八五四年、あの教会闘争が始まるまでの約一年間、
ショーペンハウアーは彼の心をすっかりとらえたと
言っても過言ではない。
・・・
ショーペンハウアーの真の意味が解らなければ実存
思想の意味も解らないということにもなるのである。
・・・
実に多くの学者や思想家が、実存思想の登場の意義を、
合理的なものに対して非合理的なものの主張と見ると
ころから、非合理的なもの即ち感性的なもの或いは
感情的なものとなし、だから実存思想は理性的人間観
に対して感性的人間観をうち立てたとみなしている。
これは実に大きな誤解である。
キルケゴールは、人間が感性的存在であることを主張
したのではなく、意志的存在であることを主張したの
である。
・・・
キルケゴール自身はそのような観方の精神史的底流を
意識していなかったが、それはショーペンハウアーか
ら発していたといえるからである。彼は合理的世界観
に対して意志的世界観をうちたてたのである。」

panse280
posted at 21:19

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