2008年08月26日

ディオゲネスの高慢

ショーペンハウアー 1788-1860
arthur schopenhauer

「ショウペンハウアー全集(5)」(91)
--「意志と表象としての世界(全四巻)」の第一巻補足--(12)


<キュニコス学派の生活>
「真のキュニコス学派たる、アンティステネス、ディオゲネス
、クラテスやその弟子たちは全くのところ、その全ての所有、
全ての安楽と享楽とを拒否し、これらのものと不可避的に結び
ついていてこれらのものによって埋め合わせのつけられない
苦労と心配、隷属と苦痛とから永久に免れた。
・・・
彼らは、アテナイやコリントスではうちわまめ、水、粗末な
上着、背嚢、杖などのようなほとんど無償で得られるもので
満足したし、時にその必要があれば乞食をしたが、労働はし
なかった。
・・・
独立が彼らの意図であった。
自分達の時を彼らは、平静と遊歩に、すべての人間との語らい
に、大いに嘲笑し笑いとばしながら、冗談に費やした。その
特徴は、のんきさと大いなる陽気さとであった。ところで
彼らはこのような生き方にさいして、追求すべき独自の努力
も、意図も目的も所有しなかった。それゆえ人間の営みその
ものを超越しており、しかも絶えず十分な余暇を楽しんでも
いたのだから、彼らは、確かな精神力を備えた人間として、
他の人々の相談相手、忠告者となるのに優れて適してした。」

「クラテスはその時代の人々によってまるで家の守護神の
ように敬われた。どの家もかって彼を入れない家はなかった。」
(アプレイウス)

<キュニコス学派の高慢>
キュニコス学派を人は「徳に至る最短の道」とよんだ。
キュニコス主義と禁欲的精神(ストア主義)との根本的差異
は謙遜である。
キュニコス主義は高慢とあらゆる他人の蔑視をたくらんで
いるのである。

<ディオゲネスの墓碑>
「青銅も時がたてば古くなる。だが決してディオゲネスよ、
あなたの名声を永遠に奪うことはできないのだ。それは
あなただけが自足の生活の栄光を人間に示しているからで
あり、また生の容易な方法を示したからである。」

panse280
posted at 21:06

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