2008年07月15日

泣く、ということ

ショーペンハウアー 1788-1860
arthur schopenhauer

「ショウペンハウアー全集(3)」(51)
--「意志と表象としての世界」--

<第四巻 意志としての世界の第二考察>
--自己認識に達した場合、生への意志の肯定と否定--

<泣く、ということ>
「もし他人がこの受難者であるとすれば、自分は
精一杯の同情と愛で彼を助けるであろうと固く
心から確信する・・・さてところがその人自身が
その人自身の心からの同情の対象なのである。
・・・
泣くということは自分自身への同情(である)。
・・・
泣くということは愛する能力、同情する能力、
さらに想像力を条件としている。そういうわけで
あるから、冷酷な人間も想像力のない人間もめった
に泣かないのである。そうであるから、泣くという
ことは常に人柄の良さのある種の度合いを表す印と
さえ見なされており、泣けば怒りも武器を手放すの
である。

それというのも、まだ泣くことができる者なら、必
ずや愛する能力、すなわち他人に対して同情する能
力もあるにちがいないと感じられるからである。」
(第六十七節)

panse280
posted at 23:19

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