2008年06月17日

オランダ画家の静謐

ショーペンハウアー 1788-1860
arthur schopenhauer

「ショウペンハウアー全集(3)」(23)
--「意志と表象としての世界」--

<第三巻 表象としての世界の第二考察>
--根拠律に依存しない表象、プラトンのイデア、芸術の客観--


<オランダ画家の静謐>
「どんな境遇のもとでも、内面的な気分によって、意欲に
対する認識作用の優越によって、イデアの認識に必要とさ
れる状態をひき起こすことができる。
これをわれわれに示してくれるのは、あの優れたオランダ
人たちである。
彼らはどんなに平凡な対象に対しても、純粋に客観的な直観
を向けた。彼らはおのれの客観性と精神の安らぎとの永続す
る記念碑を静物画のかたちで建立した。
美術鑑賞家であるなら、これを感動なしに見すごすことはで
きない。鑑賞家にとり、それは芸術家の安らぎのある、静か
な、意志から解放された心の状態をまのあたりに思い浮かべ
させるからである。
この心の状態は、かくも平凡な事物をかくも客観的に直観し、
かくも注意深く観察し、この直観をかくも慎重に反復するた
めに、必須のものであったからである。
・・・
とくにルイスダールは極度に平凡な風景を描いたが、そうす
ることによって同じ効果をいっそう申し分なく生みだしたの
である。」

panse280
posted at 20:18

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