2008年05月18日
戦中派不戦日記
山田風太郎 1922-2001
fuutaro yamada
「戦中派不戦日記」(1)
日本歴史上最も過酷な年、昭和二十年、
医学生、山田風太郎二十三歳による一年間の記録。
「吾々は女を愛し、戦いを愛し、芸術を愛する。
しかし、ショーペンハウエルの言によれば、
男女の最初の一瞥には未来の生命が息づいている
そうだ。芸術は、異性を呼ぶ野の鳥の声が起源だ
という。」
1/14 B29伊勢の皇大神宮爆撃。
1/15 余の遺言はただ一つ「無葬式」
2/7 最近食糧配給極度に悪化。街頭の雑炊食堂等
に並ぶ群衆激増す。
2/10 先日の都心爆撃に於て死者700、負傷者15000。
2/12 露伴「運命」を読む。見事なり。傑作なり。
2/21 敵ついに硫黄島に上陸せり。
われらは死なん。死は恐れず。しかも日本の滅ぶるは
耐え難し。
3/10 B29約150機、夜間爆撃、凄惨言語に絶す。
雨のように焼夷弾を撒いているB29の姿を自分は見ていた。
おそらくきゃつらは、この下界に住んでいる者を
人間仲間とは認めない、小さな黄色い猿の群れとでも
考えているのであろう。
新装版 戦中派不戦日記 (講談社文庫)
fuutaro yamada
「戦中派不戦日記」(1)
日本歴史上最も過酷な年、昭和二十年、
医学生、山田風太郎二十三歳による一年間の記録。
「吾々は女を愛し、戦いを愛し、芸術を愛する。
しかし、ショーペンハウエルの言によれば、
男女の最初の一瞥には未来の生命が息づいている
そうだ。芸術は、異性を呼ぶ野の鳥の声が起源だ
という。」
1/14 B29伊勢の皇大神宮爆撃。
1/15 余の遺言はただ一つ「無葬式」
2/7 最近食糧配給極度に悪化。街頭の雑炊食堂等
に並ぶ群衆激増す。
2/10 先日の都心爆撃に於て死者700、負傷者15000。
2/12 露伴「運命」を読む。見事なり。傑作なり。
2/21 敵ついに硫黄島に上陸せり。
われらは死なん。死は恐れず。しかも日本の滅ぶるは
耐え難し。
3/10 B29約150機、夜間爆撃、凄惨言語に絶す。
雨のように焼夷弾を撒いているB29の姿を自分は見ていた。
おそらくきゃつらは、この下界に住んでいる者を
人間仲間とは認めない、小さな黄色い猿の群れとでも
考えているのであろう。
新装版 戦中派不戦日記 (講談社文庫)