善悪は縁によっておこる

道元1200-1253
dougen

「正法眼蔵随聞記」(9)
（水野弥穂子訳）

＜人の心元より善悪なし＞
--よい人と会って、いいことを繰り返し
見聞しなさい--

「人の心元（もと）より善悪なし。善悪は縁に
よっておこる。
・・・
悪縁に近づけば悪くなるなり。我が心もとより
悪しと思ふことなかれ。ただ善縁に随ふべき
なり。
・・・
学人道心なくとも、良き人に近づき、善縁に
あふて、同じ事をいくたびも聞き見るべきなり。
この言（ことば）一度聞き見れば、今は見聞か
ずともと思ふ事なかれ。道心一度発したる人も、
同じ事なれども、聞くたびにみがかれて、いよ
いよよきなり。
・・・
善友には苦しく侘びしくとも近づきて、行道す
べきなり。」