2008年04月19日

八大人覚(はちだいにんがく)

道元1200-1253
dougen

(7)「正法眼蔵」(109)

<八大人覚(はちだいにんがく)>
道元55歳(1253)

この巻は道元、最後の製作となった、この
年の八月二十八日に没。

諸仏はこれ大人なり、大人の覚知する所なれば
ゆえに八大人覚と称すなり。(道元)

1 小欲
小欲の人は、へつらって人の意におもねること
がなく、六根に誘惑されることがありません。
心は坦々として、憂いたり畏れたりすることが
なく、事に触れて余裕があり、心に不足を感じる
ことがありません。

2 知足
受け取った限りのもので満足すること、これを
「足りるを知る」と云う。
足りることを知らない人は、富裕になったとしても
貧しいのです。足りるを知る人は、貧しくあっても
富んでいるのです。

3 楽寂静(ぎょうじゃくじょう)
世俗の騒がしいところを離れて、独り心静かに
生活すること。

4 懃精進(ごんしょうじん)
善い教えを、暇なく修めること。

5 不忘念(ふもうねん)又は、守正念
教えを守って忘れないこと。

6 修禅定(しゅぜんじょう)
教えの中に在って身心が乱れないことを、禅定という。

7 修知慧(しゅちえ)
教えを聞き、考え、修行し、覚りをえることを知慧という。
知慧があれば、何事にも貪り執着することはありません。
知慧こそは、老、病の海を渡る確かな船です。

8 不戯論(ふけろん)
真理を証して賢しらな意識を捨てること、これを
不戯論という。
無用な議論をしないこと。

以上、八つの覚りを、八大人覚という。
これは、二月十五日夜半、釈尊の絶唱である。
この後、涅槃に入られたのである。

panse280
posted at 19:52

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