十方(じっぽう)
道元1200-1253
dougen
(6)「正法眼蔵」(79)
<十方(じっぽう)>
道元44歳
「「尽十方界、是自己光明」
自己とは、父母未生已前の鼻孔(びくう)なり。
鼻孔あやまりて自己の手裏にあるを尽十方界といふ。」
「「十方の世界のことごとくは、すなわち自己の光明である」
自己とは、父母もまだ生まれない以前の鼻の孔(あな)
である。それをいつのまにかとり誤って、わが手のなかに
握りしめている、それを尽十方界という。」
(「正法眼蔵6」増谷訳、十方)
私注:
十方とは仏土である。大も小も、浄も穢(え)もなく、
賞讃も非難もなく、好き嫌いもない世界である。