2008年03月06日

文王と太公望の問答

道元1200-1253
dougen

(5)「正法眼蔵」(67)

<仏道(ぶつどう)>(2)
道元44歳

<文王と太公望の問答>
世が乱れる原因は世俗の意見を聞くことである。

文王「世俗のほめるところを用いると、どうだというのか」
太公望「もし好んで世俗のほめるところをきかば、あるいは、
賢にあらざるを賢とし、あるいは、智にあらざるを智となし、
あるいは、忠にあらざるを忠となし、あるいは、信にあらざる
をもって信となすでありましょう。
もしそのように、君主が、世俗のほめるところを賢なり智なり
となし、また世俗のそしるところをもって不肖(ふしょう)の
ものとなすならば、やがてやからの多いものが進みでて、
やからのすくないものは退くこととなりましょう。かくて、
もろもろの邪悪なものが党派をむすんで賢者を蔽い、忠臣は
ために罪なきに死し、邪臣はむなしき誉れをにない栄位を
得るということともなる。そのようなことで、世はいよいよ
乱れ、国は存亡の淵にのぞむということと相成るのでござい
ます。」

「危急存亡のもとはいかにして生ずるかといえば、それは
なによりもまず、みだりに世俗に随うよりはじまるのである。
世俗のほめるところに耳を傾けるようでは、本当の賢者を
得ることはできない。本物の賢を得んとおもうならば、
まさに古今を照覧するの智略がなくてはなるまい。」(道元)


panse280
posted at 20:04

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