2007年05月29日

吉川英治/親鸞

吉川英治1892-1962
eiji yoshikawa

「親鸞」

「わたくしの作家生活と親鸞とは忘れ得ない
ものがある。いまおもえば恥かしい限りだが、
私が初めて小説というものを書いた最初の一作
が親鸞だったのである。当時わたくしはT新聞社
の駆け出しの学芸部記者だった。・・・
その私へどうしたことか連載小説として親鸞伝
を書けという社命なのである。・・・
私は毎朝、他の同僚たちより2時間も早く出勤し、
社用のザラ紙へ鉛筆書きで毎日の掲載分をその
日その日書いた。・・・
連載中もよく本願寺関係のひとや篤学家などに
社へやって来られて、堂々たる親鸞論を以て駁
されるには閉口した。・・・
ようやく何とか1年半余の連載を果した。それが
「親鸞記」として社から出版の運びになったと
ころで関東大震災が来た。
かくて私の処女作は世間へ出ずに製本されたまま
社屋とともに焼けてしまった。
・・・
中年になってふたたび親鸞を書いた。・・・・
昭和13年に刊行された講談社版の「親鸞」が
それである。」その序文に「50台になったら
もういっぺん書きあらためたい。」と記すが
ついにそれは果たせなかった。

親鸞〈1〉
親鸞〈2〉
親鸞〈3〉


panse280
posted at 19:46

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