2006年11月10日

芭蕉

鈴木大拙1870-1966
daietsu suzuki

「禅と日本文化」(29)


<芭蕉>
「彼以前の俳句はたんなる娯楽以上の深い意味の
ない、一種の言葉の遊びだった。」

芭蕉の師、仏頂和尚が芭蕉に語りかける。
「近頃どう暮らしているか」
芭蕉が答える。
「雨過ぎて青苔湿ふ」
仏頂がさらに尋ねる。
「青苔いまだ生ぜざるときの仏法いかん」
芭蕉が答える。
「蛙飛び込む水の音」

仏頂の問いの意味は万物創造以前の宇宙風景である。
「時間なき時間はいつであるか。それは空な概念に
すぎぬか。空な概念でないとすればわれわれは他の人
のためになんとか述べられるに違いない。
芭蕉の答えは「蛙飛び込む水の音」であった。」

「俳句は元来直観を反映する表象以外に、思想の
表現ということをせぬのである。」

「芭蕉の古池は「時間なき時間」を有する永久の彼岸
によこたわっている。」

「詩人が彼の「無意識」を洞徹したのは、古池の静寂
にはなくて、飛ぶ込む蛙のみだす音にあった。これを
聞く耳にあった。この音がなければ、創作活動の源泉
であり、すべての芸術家がその霊感を仰ぐところの
「無意識」への洞徹が芭蕉にはありえなかった。」

panse280
posted at 19:47

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