本は読まなかった
吉本隆明1924-
takaaki yoshimoto
「読書の方法」(4)
<本は読まなかった>
「子供のときどんな本を読んだか。・・・
ほとんど何も浮かんでこない。・・・
少なくとも本を読むことを親から励まされたり、
良い本だから読めとあてがわれたりしたことは
皆目なかった。
もちろん教科書や参考書を家で読んだことは、
かなり大きくなるまでなかった。
宿題のあるときだけ畳のうえに腹這いになって
仕方なしに読んだ。
鞄を玄関先に放り出すと、もう夕方までは
戻ってこないのが日常であった。」