明治時代
岡倉天心1863-1913
tenshin okakura
「東洋の理想」(33)
<明治時代(1850-現在)>(1)
「今日、日本人の心を束縛している二つの強大な力
の鎖があり、双方竜のごとくとぐろを巻いて、それぞ
れが生命の宝珠の独占者になろうとして争い、ときどき、
両者とも、狂瀾沸騰する大海の中に姿を没するのである。
その一つは特殊具体的なるものを通じて流れる普遍的な
るものの雄大な幻影にみち溢れたアジアの理想であり、
もう一つは、組織立った文化を持ち、分化した知識の
ことごとくを揃えて武装し、競争力の切っ先も鋭い
ヨーロッパの科学である。」