平安時代の彫刻
岡倉天心1863-1913
tenshin okakura
「東洋の理想」(20)
<平安時代の彫刻>
「この時代の彫刻のもっともすぐれた標本の一つは、
空海の命によって刻まれ、今日京都の近くの神護寺に
現存している大治療者薬師如来の像である。
もう一つは、近江の渡岸寺の十一面観音で、これは
空海の偉大な敵手であった最澄の作とされている。」
「平安時代の芸術は、かくて、具体的なるがゆえに
力強くかつ活力に満ちた作品の同義語になっている。
それはある確信の気迫に満ちている。
しかし、それは、偉大な理想主義の自発性と超脱とを
欠いていて、自由ではない。」