享楽主義エピキュリアニズム
三島由紀夫1925-1970
yukio mishima
「葉隠入門」(16)
<享楽主義エピキュリアニズム>
「只今の一念より外はこれなく候。
一念一念と重ねて一生なり。
ここに覚え付き候へば、外に忙(せは)しき
事もなく、求むることもなし。
この一念を守って暮すまでなり。」
エピクロスの哲理はエピキュリアニズム(享楽主義)
といわれるが、じつはストイシズムと紙一重であった。
エピクロスの哲理は、享楽がそのまま幻滅におちいり、
果たされた欲望がたちまち空白状態におちいるような
肉体的享楽をいっさい排斥した。