2005年12月05日

名声・富の六つの害

荘子bc369-bc286
soushi

「荘子」(82)


<名声・富の六つの害>
無足(むそく)は知和(ちわ)に問う。
名声や富を求めないのはおかしくはないか、と。
知和が応える。
「ほどのよい調和を得ているのが幸福なことで、
余分ができるのは害だというのは、何事もでも
そのとおりだが、しかし、財物については特に
それがはなはだしい。
いま金持ち連中をみると、耳は太鼓や笛の音色に
乱され、口は美酒美食に満ち足りて自分の仕事を
忘れている。
乱れているといっていいだろう。

あぶらぎった血気に溺れ、重い荷物を背負って
坂道を上っていく有様は、
苦しいといっていいだろう。

財物をむさぼっては心配ごとにぶつかり、権力を
むさぼっては身をすりへらし、じっとしていると
きはふさぎこみ、動き出したとなるとはしゃぎま
わる。
病んでいるといっていいだろう。

富を求めて利益を追っているから、財物が満ちあ
ふれてまわりをとりまくほどになっても身をひこ
うともせず、さらに張り切って止まることがない。
恥ずかしいことといっていいだろう。

財物が集まってもそれを活用せず、ひたすらに守
りながらむさぼりつづけ、心はすっかりくたびれて
いるのになお増やそうとしてやめない。
悲しいことといっていいだろう。

家の中では強盗に侵入されないかとおびえ、外で
は盗賊に襲われないかと恐れ、家のまわりは望楼
でかため、外出には一人では出かけない。
畏(おそ)れているといっていいだろう。

panse280
posted at 23:25

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