2005年05月12日

バカな男もナメたらアカン

モンテーニュ1533-1592
Michel Eyquem de Montaigne

「エセー」(76)

<バカな男もナメたらアカン>
「彼女(メッサリナ)は初めのうちは、よくあるように、夫に
隠れて不貞を働いた。だが、夫が間抜けなために、恋の遊びを
あまりにもやすやすと運ぶことができるので、これまでのやり
方が急につまらなくなった。そこで公然と恋をし、恋人たちの
いることを認め、皆の見ている前で彼らをもてなし、ちやほや
した。
彼女は夫に感づいてくれればいいと願ったが、夫のバカはこん
なにされても目が覚めなかった。そして、まるで彼女の不貞を
許し、認めているかのように、あまりにも鷹揚だったので、彼
女の快楽は、だらけて味のないものになった。
そこでどうしたかというと、まだ健康でぴんぴんしている皇帝
の妃でありながら、世界の舞台であるローマで、白昼、堂々と
盛大な式典をあげて、久しい前からむつみ合っていたシリウス
と、夫の皇帝が市外に出て留守のときに結婚したのである。」
(タキトゥス「年代記」)
「けれども彼女が出会った最初の困難は最後のものとなった。
夫のバカが突然目を覚ましたからである。・・・
皇帝は彼女を殺し、彼女と情を通じた多くの男を殺した。」

panse280
posted at 20:10

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