2016年04月29日

死と悪魔をつれた騎士

「悲劇の誕生」(23)
ニーチェ  1844-1900
Friedrich Wilhelm Nietzsche
西尾幹二 訳

2014.4.25 3版発行(中公クラシックス)

<死と悪魔をつれた騎士>
ゲーテ、シラーのような英雄をもって
してもギリシャの魔の山に通じるあの
魔法の門を打ち破ることができなかった。

ドイツには希望はないのか。そんな時、
最もふさわしい我が身の象徴として選び出す
ことができるのはデューラーの描いた
「死と悪魔をつれた騎士」であろう。

甲冑に身を固めた騎士。その目は青銅の
ごとく堅く、峻厳。死と悪魔という恐るべき
道連れにも心惑わされることなく、しかも、
それでいて、何ひとつ希望はない。

ただひとり馬と犬とを供につれ、おのが恐怖
の道をひたすら進む騎士。このようなデューラー
の「騎士」こそ、わがショーペンハウアーで
あったのだ。

彼には何ひとつ希望はなかった。にもかかわ
らず、彼は、真理を欲したのだ。
世に、彼に比肩するものはいない。

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