わが家の応接間
「吾輩は猫である」(22)
夏目漱石 1867-1916
sohseki natsume
2009.9.15 第10刷発行(新潮文庫)
--漱石の文章を味わってみる--
<わが家の応接間>
鈴木藤十郎君が訪ねてきた。
「鈴木君は一応室内を見廻す。床に掛けた
花開万国春とある木庵の贋物や、京製の安青磁
に活けた彼岸桜などを一々順番に点検したあと
で、ふと下女の勧めた布団の上を見るといつの
間にか一疋の猫は済まして坐っている。
・・それはかく申す吾輩である。」
注)木庵:隠元、即非とともに黄檗の三筆。
漱石山房にはよく木庵の「花開万国春」の軸
がかかっていた。
主人はトイレから出てきて「やあ」と席につい
たが・・
「主人はこの野郎と吾輩の襟がみを攫んでえい
とばかりに縁側へたたきつけた。」
夏目漱石 1867-1916
sohseki natsume
2009.9.15 第10刷発行(新潮文庫)
--漱石の文章を味わってみる--
<わが家の応接間>
鈴木藤十郎君が訪ねてきた。
「鈴木君は一応室内を見廻す。床に掛けた
花開万国春とある木庵の贋物や、京製の安青磁
に活けた彼岸桜などを一々順番に点検したあと
で、ふと下女の勧めた布団の上を見るといつの
間にか一疋の猫は済まして坐っている。
・・それはかく申す吾輩である。」
注)木庵:隠元、即非とともに黄檗の三筆。
漱石山房にはよく木庵の「花開万国春」の軸
がかかっていた。
主人はトイレから出てきて「やあ」と席につい
たが・・
「主人はこの野郎と吾輩の襟がみを攫んでえい
とばかりに縁側へたたきつけた。」