2015年04月09日

苦痛道楽者

「漱石全集第18巻」(26)
--文学論--

夏目漱石 1867-1916
souseki natsume

1979.8.8 第7刷発行(岩波書店)

<苦痛道楽者>
一種の人間ありて苦痛を好み困難を愛す、
されど別に病的と名づくる能わざれば余は
これを苦痛の道楽者又は数寄者と名づくべし。

ここに注目すべきは是等の道楽者の大部分が
必ず社会の中層以上に属する事実である。

彼等の涙は贅沢の涙にして卓越の意の飽和し
たるものとす。

贅沢家に二種あり、一を知的としニを道徳的
とす。
一の好例はかの有名なるSchopenhauerに於いて
之をみるべし。彼の厭世主義はその実、真個
真面目のものにあらず、評家kuno Fischerは
これを全くの贅沢厭世観なりと断言せり。

道徳的贅沢家は枚挙にいとまがない。
大方の詩人、小説化、美術家は皆道徳的芝居を
興行して随喜の涙にむせぶものとす。

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