2015年02月07日

漱石は偽善を嫌った

「父・夏目漱石」(2)
夏目伸六 1908-1975
shinroku matsume

1992.6.25 第3刷発行(文春文庫)

<生涯一度の恐怖の思い出>
正常な時の父は、みだりに訳もなく怒るような
人ではなかった。だが、いつなんどき恐ろしい
父の姿が飛び出してくるか、その不安はいつも
あった。
・・・
私は父から気違いじみた取扱いをされたことが
一度ある。
兄と私が父にせがんで神社境内の見世物小屋の
射撃場へいった時、兄と私は「撃ちたい、撃ちたい」
と父にせがんでいた。
・・・
「純一、撃つなら早く撃たないか」
兄は「恥ずかしいからいやだあ」と父の背後に
隠れた。
「それじゃ伸六お前うて」
「恥ずかしい・・僕も・・」と父の後ろに隠れ
ようとした。
「馬鹿っ」
その瞬間、私は父の一撃をくらって地面に倒れた。
父は下駄履きのままで、私を踏む、蹴る、そして
手にもったステッキで頭といわず足といわず、
滅茶苦茶に打ちおろした。

最近、父の全集読んだとき、このことが書いて
あった。おそらく父は平然と自己を偽り、他人を
偽る偽善者達を心の底から軽蔑し憎悪していたに
違いない。

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