2014年08月31日

八戒の愉しみ

「中島敦」(7)
中島敦 1909-1942
atsushi nakajima

2008.3.10 第1刷発行(ちくま日本文学012)

【悟浄歎異】(7)
--沙門悟浄の手記--

<八戒の愉しみ>
「八戒、・・この豚は怖ろしくこの生を、この世を
愛しておる。嗅覚・味覚・触覚のすべてを挙げて、
この世に執しておる。
・・
八戒は、自分がこの世で楽しいと思う事柄を一つ一つ
数え立てた。夏の木陰の午睡。渓流の水浴。月夜の吹笛。
春暁の朝寝。冬夜の炉辺歓談・・・何と愉しげに、また、
何と数多くの項目を彼は数え立てたことだろう!

殊に、若い女人の肉体の美しさと、四季それぞれの
食物の味に言い及んだ時、彼の言葉はいつまで経っても
尽きぬもののように思われた。
・・
なるほど、楽しむにも才能の要るものだなと俺は気が
付き、爾来、この豚を軽蔑することを止めた。」

posted at

2014年08月

2014年08月30日

2014年08月29日

2014年08月28日

2014年08月27日

2014年08月26日

2014年08月25日

2014年08月24日

2014年08月23日

2014年08月22日

2014年08月21日

2014年08月20日

2014年08月19日

2014年08月18日

2014年08月17日

2014年08月16日

2014年08月15日

2014年08月14日

2014年08月13日

2014年08月12日