「草枕」--詩の世界
「決定版 夏目漱石」(7)
江藤淳 1932-1999
jun etou
2006.9.20 第12刷発行(新潮文庫)
(この本の内容は1955-1974に書かれたもの)
当時、江藤氏は23歳の慶応の学生だった。
<「草枕」--詩の世界、しかし現実は正反対>
「世の中は自己の想像とは全く正反対の現象で
うづまっている。そこで吾人の世に立つ所は
キタナイ者でも、不愉快なものでも、イヤなもの
でも一切避けぬ否進んでその内へ飛び込まなければ
何にも出来ぬといふ事である。」(漱石)
「西洋の詩になると、人事が根本になるから・・・
いくら詩的になっても地面の上を駆けあるいて、
銭(ゼニ)の勘定を忘れるひまがない・・・
うれしい事に東洋の詩歌はそこを解脱したのがある。」
(漱石)
<「坑夫」--性格描写に関して>
「近頃ではてんで性格なんてものはないものだと
考えている。よく小説家がこんな性格を書くの、
あんな性格をこしらへるのと云って得意がっている。
・・・本当の事を云ふと性格なんて纏(まとま)った
ものはありゃしない。」
江藤淳 1932-1999
jun etou
2006.9.20 第12刷発行(新潮文庫)
(この本の内容は1955-1974に書かれたもの)
当時、江藤氏は23歳の慶応の学生だった。
<「草枕」--詩の世界、しかし現実は正反対>
「世の中は自己の想像とは全く正反対の現象で
うづまっている。そこで吾人の世に立つ所は
キタナイ者でも、不愉快なものでも、イヤなもの
でも一切避けぬ否進んでその内へ飛び込まなければ
何にも出来ぬといふ事である。」(漱石)
「西洋の詩になると、人事が根本になるから・・・
いくら詩的になっても地面の上を駆けあるいて、
銭(ゼニ)の勘定を忘れるひまがない・・・
うれしい事に東洋の詩歌はそこを解脱したのがある。」
(漱石)
<「坑夫」--性格描写に関して>
「近頃ではてんで性格なんてものはないものだと
考えている。よく小説家がこんな性格を書くの、
あんな性格をこしらへるのと云って得意がっている。
・・・本当の事を云ふと性格なんて纏(まとま)った
ものはありゃしない。」