早すぎた信仰
吉本隆明1924-
takaaki yoshimoto
「宮沢賢治」(2)
<早すぎた信仰>
「おもうに宮沢賢治は、いちどもよく遊び、
ほかの子供たちと悪戯をやっては、侵犯する
こころを父母に叱られたり、きれいな女性に
胸をときめかして恋愛し、やがて結婚して、
楽しい生活をしようという発想をとったこと
はなく、開放されないこころの殻をやぶらな
いままに、宗教的な歓喜、有頂天、恍惚のと
ころまで登りつめてしまった。
・・・
世間知が足りない、経験からみちびいた叡智
がない。欲望のデカダンスを知らなすぎる。
・・・
きまじめな優等生の子どもが、やがて人なみ
の生活にめざめてゆく過程をたどる以前に、
とても早急にまた深く、信仰にとらえられて
しまった。」
takaaki yoshimoto
「宮沢賢治」(2)
<早すぎた信仰>
「おもうに宮沢賢治は、いちどもよく遊び、
ほかの子供たちと悪戯をやっては、侵犯する
こころを父母に叱られたり、きれいな女性に
胸をときめかして恋愛し、やがて結婚して、
楽しい生活をしようという発想をとったこと
はなく、開放されないこころの殻をやぶらな
いままに、宗教的な歓喜、有頂天、恍惚のと
ころまで登りつめてしまった。
・・・
世間知が足りない、経験からみちびいた叡智
がない。欲望のデカダンスを知らなすぎる。
・・・
きまじめな優等生の子どもが、やがて人なみ
の生活にめざめてゆく過程をたどる以前に、
とても早急にまた深く、信仰にとらえられて
しまった。」