2007年03月31日

生命の悲しみ

吉本隆明1924-
takaaki yoshimoto

「吉本隆明全著作集(15)初期作品集」(3)
(宮沢賢治)

<生命の悲しみ>
「彼(賢治)の作品には「生命の悲しみ」とも
言ふべき一つの悲哀を帯びた調子が一貫して
流れている事なのです。それは実に大きな悲し
みであり、私達の魂を奥底からゆすぶってさら
ひ去って行くやうなものなのです。
何か自然の悲しみと言ひませうか、山川草木の
悲しみと言ひませうか、その様な確かに宇宙の
創造的な意志に付きまとふやうな本質的なもの
なのです。生々流転の悲しみなのです。
ここに「悲しみ」と言ふ言葉を用ひましたが、
これは普通私達が用ひている悲観と言ふ意味と
は全く異り、更に大きな深い、(その中には
私達が喜びとか楽しみとか呼んでいるもの
すべて含まれている様な)意味の悲しみです。
他に言ひ現はすやうな適当な言葉は見付かりま
せんが、仏教で言ふ「無常」と言ふ言葉が表現
している、その本質実体とも言ふべきものに
通ふ悲しみなのです。
私は仮にそれを「生命の悲しみ」と名付けま
した。」

posted at

2007年03月

2007年03月29日

2007年03月27日

2007年03月26日

2007年03月25日

2007年03月24日

2007年03月23日

2007年03月22日

2007年03月21日

2007年03月20日

2007年03月19日

2007年03月18日

2007年03月17日

2007年03月16日

2007年03月15日

2007年03月14日

2007年03月13日

2007年03月12日

2007年03月11日

2007年03月10日