2005年03月25日

背教者ユリアヌス

モンテーニュ1533-1592
Michel Eyquem de Montaigne

「エセー」(28)


<背教者ユリアヌス>
「本当に、ユリアヌス帝は実に偉大で稀有な人物であった。
精神は哲学の思想に濃く色どられ、・・・どの種類の徳に
おいてもきわめていちじるしい模範を残した。純潔という
点では、・・・数ある絶世の美人の捕虜の中の誰にも会お
うとしなかった。正義という点では、わざわざ自分で訴訟
の両方の言い分を聞いた。出頭した者どもには、好奇心か
ら、どの宗教を奉ずるかをたずねたけれども、キリスト教
に対していだいていた敵意のために、いささかも判断の天
秤を傾けなかった。自らも、多くのよい法律を作り、前の
皇帝たちが徴集した租税の大部分を撤廃した。
・・・ユリアヌス帝は確かに厳格ではあるが、残酷な敵で
はなかった。・・・(ある日)土地の司教マリスが大胆に
も「キリストの邪悪な反逆者」と呼ばわったが、彼(ユリ
アヌス)はただ「去れ、あわれな者よ、おまえの目が見え
ないことを嘆け」と答えただけだった。・・・・
彼の質素については、常に兵士と同じ生活をした。
そして平時にも、戦時のきびしさに自分を鍛えるような食
事をとった。・・・(そして彼は)あらゆる種類の文学に
精通していた。・・・われわれの記憶では、彼ほど多くの
危険に立ち向かい、試練に身をさらした人はほとんどいな
い。・・・宗教に関しては、あくまでも誤っていて、キリ
スト教を捨てたために、背教者とあだ名された。」


モンテーニュの「ユリアヌス」評を読んで、辻邦生の「背
教者ユリアヌス」を読むのも一興なり。


背教者ユリアヌス

panse280
posted at 21:10

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