2005年02月01日

十四歳ニ満タザル者ノ行為

三島由紀夫1925-1970
yukio mishima

「午後の曳航」

刑法「十四歳ニ満タザル者ノ行為ハ之(コレ)
ヲ罰セズ」

神戸の児童殺害事件後、少年心理の解析が盛ん
であるが、「午後の曳航」は実に多くのことを
考えさせられる作品である。


午後の曳航

「不幸なのか幸福なのかわからないような女の
莫迦(ばか)な表情。そのとき登には、母が洗
濯女のように見えた。」

「「坊や、人生の目的というものは、人が与え
てくれるもんじゃない。自分の力で作り出すん
だよ」
何て莫迦げた月並な教訓だろう。そのとき彼は、
父親の言うべき言葉の、いくつかの釦(ボタン)
の一つを押したんだ。こういうときの父親の、
あらゆる独創性を警戒する目つき、世界を一ぺ
んに狭くする目つきを見るがいい。
父親というのは真実を隠蔽する機関で、子供に
嘘を供給する機関で、それだけならまだしも、
一番わるいことは、自分が人知れず真実を代表
していると信じていることだ。」

「今を失ったら、僕たちはもう一生、盗みも殺
人も、人間の自由を証明する行為は何一つ出来
なくなってしまうんだ。お座なりとおべんちゃ
らと、蔭口と服従と、妥協と恐怖の中に、来る
日も来る日もびくびくしながら、隣り近所へ目
を配って、鼠の一生を送るよういなるんだ。
それから結婚して、子供を作って、世の中でい
ちばん醜悪な父親というものになるんだよ。」

「それにしても血をみると、何て気分がせいせ
いするんだろう」

「誰も知るように、栄光の味は苦い。」


panse280
posted at 20:05

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