2004年12月02日

私と創作

芥川龍之介1892-1927
ryunosuke akutagawa

「私と創作」

昔の作家は、辞書を読む人が多い。
辞書を読まなくなってから、文学はエンターテ
イメントに移行したのだろう。
エンターテイメントというのは、芸術から最も
離れたところにあるから現代的といえばいえな
くもない。


<古いもの>
「材料は、従来よく古いものからとった。その
ために、僕を、としよりの骨董いじりのように、
いかものばかりさがして歩く人間だと思ってい
る人がある。が、そうではない。僕は、子供の
ときにうけた旧弊な教育のおかげで、昔からあ
まり、現代に関係のない本を読んでいた。今で
も読んでいる。材料はその中から目っかるので
何も材料をさがすためにばかり読むのではない。」

<疳癪>
「書き出すとよく、疳癪(かんしゃく)が起こる。
起こるような周囲の中に置かれてあるから、起こ
るので、さもなかったら、起こらないにちがいな
い。・・・ものを書く時は、よく家のものをどな
りつけた。」

<書くのがつかえたら>
「書くことはずんずん書ける。・・・もしつかえ
れば、手当たり次第、机の上の本をあけて見る。
そうすると、たいてい二頁か三頁読むうちに、書
けるようになってくる。本はなんでも差し支えな
い。子供のときから字引を読む癖があるから、
ディクソンの熟語辞書なんどを読むこともある。」

<書いているときの気持ち>
「書いているときの心もちを言うと、こしらえて
いるという気より、育てているという気がする。
人間でも事件でも、その本来の動き方はたった
一つしかない。その一つしかないものをそれから
それへと見つけながら書いてゆくという気がする。
一つそれを見つけそこなうと、もうそれより先へ
はすすまれない。」


panse280
posted at 21:07

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